Pro Tools

Pro Tools(プロツールス)とは、デジデザインが開発・販売しているパーソナルコンピュータを核としたデジタルオーディオプロダクションシステムである。パソコンのモニタ上に表示された音声波形をマウスを使ってドラッグするといった直感的な操作性を備えていること、またハードディスクレコーディングならではの非破壊レコーディング(DAWの記事を参照のこと)やプラグインの各種エフェクト(後述)などが人気を呼び、現在では音楽制作現場をはじめ、映画、放送など多くの分野においてデファクトスタンダードとしての地位を確立している。
同社の音声波形編集ソフトSound DesignerとオーディオインターフェースSound Toolsを原型として、1990年代初頭にプロフェッショナル向けのレコーディングシステムとして開発された。 当時のパソコンの性能では、非圧縮かつリアルタイムでCD品質の音声を処理することが困難であったため、専用のDSPカードを増設し音声処理を分担させることで音楽制作に耐えうるクオリティーを確保した。このアイデアは、DSPカードやオーディオI/Oの数を必要に応じて追加できる柔軟なシステム構築を可能としたばかりでなく、パソコン自体の高性能化にそれほど依存することなく本製品の能力強化が実現できた点においても大変意義深い。 Pro Toolsはシステム全体の名称であり、Pro Tools SoftwareとハードウェアのHD Coreカード、HD Accelカード、192 I/Oなどに分類することができ、Mac本体、フィジカルコントローラなどをセットにしシステム全体をPro Toolsと呼んでいる。
現在ではサラウンド音声にも対応し、音楽制作にとどまらず、スカイウォーカー・サウンドをはじめとする多くの映画の音響製作現場にも標準設備として導入されている。 なお、その後のパソコンの性能向上に伴い、DSPカードを用いずCPU上での音声処理を行うコンシューマ向けの製品であるPro Tools LEや、その派生としてM-Audio社のオーディオ・インターフェイスで動作するPro Tools M-Poweredも発売されている。 M-PoweredはM-Audio機材がドングルの役目になっており、M-Audio機材がつながって、電源が入っていないと起動することができない。
プラグイン
各種エフェクトをプラグインとして拡張でき、デジデザインのみならず多くのディベロッパが魅力的なプラグインを発売したことも、Pro Tools普及の大きな要因である。Antares Audio Technologies社のオートチューン(ピッチ補正)やLine6社のAmpFarm(ギターアンプシミュレータ)は代表的なキラープラグインである。なお、現在ではエフェクトのみならずソフトウェアベースのサンプラーやシンセサイザーといったプラグインも発売されている。 Pro ToolsではTDMおよびRTASというプラグイン環境が使われている。 TDMというのが古くからある規格は、専用ハードウェア上のDSPを使って処理するタイプのもの、そしてRTASはVSTやAudio Unitsと同様にパソコンのCPUを使って処理するタイプのものである。 現在ではHTDMというものが主流になってきており、これはTDMとして使える一方で、高速なCPUを用いて処理することも可能になっているプラグインのハイブリッドともいえる。